IT企業、特に通信関連企業における温度管理の重要性

近年ではインターネット回線の増加や携帯電話回線の複線化の流れを汲み、IT企業、とりわけ通信関連事業を請け負う企業の規模は驚くべき速度で拡大を続けています。

そうしたIT企業の社内環境として特に特徴的と言えるのが「温度管理」です。通常の企業であっても社内の温度管理はモチベーション向上のためにかなり気を遣っていますが、IT業界においてはその比でないほどの冷却が常に行われており、業界の技術者に労災が多い一因ではないかと言われています。

そこまでの冷却を行う理由は、モチベーション向上の対象が人間ではなく機械だからです。人間と機械のどちらが大切か、などの哲学的な問題はしませんが、少なくとも故障時の修理コストが高いのはほとんどの場合機械です。ある程度以上の規模のサーバールーム、コンピュータールームともなれば機材代とランニングコストだけで数千万からかかると言われており、かつ精密機械の塊であるサーバーコンピューターは少しの温度、湿度のコントロールミスでオーバーヒートをはじめとした故障を起こすため、厳密な温度調整が必要なのです。通信関連企業においてはさらに温度管理への危機感が強くなっています。

通信手段というのは同等の代替品を見つけることが難しい上、非常時の連絡や公的機関同士のやりとり、企業同士の連携等、大きな利益や人命に関連する事案であるために、通信関連企業がストップするということは莫大な量の損害賠償に見舞われるにとどまらず、信用を大きく失墜させ、倒産にすら至り得るほど深刻な問題だからなのです。